技能実習生制度に《介護職》を追加する実習適正化法が成立し、入管法も改正。政府は、人手不足の介護現場で外国人の受け入れ拡大にかじを切った。

 11月18日の午前、発展途上国の労働者が日本で技術を学ぶ「外国人技能実習制度」の適正化法が参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。日本で介護福祉士の国家資格を取得した外国人が継続的に働けるよう、在留資格に「介護」を設けることを柱とした改正入管法も成立。いずれも公布日から1年以内に施行されることとなった。
 適正化法は、実習先(受け入れ企業など)・監理団体(事業協同組合、商工会など)を監督する認可法人を新設。実習生の実習計画を認定し、実地検査などを行う。暴行や脅迫による労働の強制やパスポートの取り上げなど人権侵害行為に対しては懲役や罰金の罰則も定めた。優良な実習先は実習期間を現行の3年から最長5年に延長できる、としている。
 又、入管法の改正では、外国人が就労できる在留資格に「介護」を追加した。留学生の資格で入国した外国人が国指定の養成施設で学び、介護福祉士の資格を得た場合が対象になる。また、虚偽申告に罰則を設けた。
ただし、いまだ介護実習で認められる業務内容、実施期間(受入機関)の要件、その他の条件など制度の詳細はまだ明らかになっていない。しかし、各国の送り出し機関の介護人材送り出しの動きも急ピッチに進むであろう。日本の管理団体、大手の福祉事業の企業体が、相次いで発展途上国を訪問しており、既に人財の囲い込みも始まった、とみるべきであろう。
私たちも、6月に中国山東省、この11月にベトナム・ミャンマーの幾つかの送り出し機関、研修・教育センター等を視察し、入国前の事前教育の大切さや信頼できる監理団体、送出し機関との連携とパートナーシップの確立、国際的な介護人材の好循環システムの構築が重要だと確信した。
教育内容の共有化、研修の共同、貸付制度、共済組合の設立、高齢者施設の設置など、課題も多いが、品資志向の協力関係の構築を目指し、送り出し機関,管理団体との協働を求めていきたい。